【解説】通信キャリアでのネットワークエンジニアに求められるスキル

通信キャリアでのネットワークエンジニアに求められるスキル

この記事では以下の読者の方向けに通信キャリアでのネットワークエンジニアとして働く上で求められるスキルついてご紹介しようと思います。

【想定読者】
・通信事業者(通信キャリア)に入社したばかりの若手社員
・これからネットワークエンジニアになりたい方、興味がある方
・ベンダでネットワークエンジニアとして働かれている方

この記事で解決できることについて

・ネットワークエンジニアとして働くことになったけど、どのように仕事に取り組むべきか、どんなスキルが必要となるかがわからない
・既にNIerでベンダのネットワークエンジニアとして仕事をしていて、通信キャリアに転職したいと考えているけど、どんな人材やスキル・能力が求められるのか知りたい
・同じネットワークエンジニアでも求められるスキルって違うの?

さっそくですが、通信キャリアで働くネットワークエンジニアはどんな能力やスキルが求められるでしょうか。

新卒入社から10年間、通信キャリアのネットワークSEとして働いてきた経験がある私の意見として、以下の能力が求めらると感じてます。

①CCNPレベルのネットワーク知識
②対顧客とのコミュニケーション能力
③資料作成(主にパワーポイント)能力
④ベンダーコントロール能力
⑤通信キャリア独自のサービス(閉域網サービス)の知識

上記に記載した内容は優先順位が高い順番に記載してますのでそれぞれ詳細を説明しますね。

①CCNPレベルのネットワーク知識

まずネットワークエンジニアとして働く上ではネットワークの知識がないといけません。

そのため、1番重要なのはネットワークの知識ですが、求められる知識レベルはどれ程かというと、CCNPレベルの知識が求められます。

よく最低限CCNAまで取得して、あとは実務で経験を積めば問題ないという記事も見かけますが、正直なところCCNPレベルの知識は必須だと思います。

CCNPを取る必要があるというわけではなく、知識の話ですので無理に資格を取ることは推奨しませんが、勉強は大事だと思います。

なぜCCNPレベルの知識が必要かというと、CCNAレベルの知識だとベンダーが作成したコンフィグを全て理解できないからです。

おすすめの勉強法としてはCCNAに合格したら、CCNPを目指すのではなく、案件を対応する中で機器のコンフィグを1行ずつ設定内容の意味を調べていくことが一番だと思います。

エンジニア全てに言えることですが、経験に勝る知識はないと思いますので、如何に多くのコンフィグを見て内容を理解できるか、それを積み重ねていくことで知識が定着していき、結果CCNPレベルの知識レベルにまで到達できるようになります。

私は入社当時、資格取得が目的となってしまい、CCNPを取得はしたのですが、結果コンフィグが半分くらいしかわからない、、、って苦い思いをした経験がありますので目的を誤らないようにしていただきたいです。

取得すること自体は良いですけどね、3年間で更新しないといけないですし、当時2回ほど落ちて相当なお金をドブに捨てたので、CCNPの取得自体はおすすめはしないです。

あまり資格を評価されることはないですからね。
CCIEになると話は別ですが、、

②対顧客とのコミュニケーション能力

2番目は顧客とのコミュニケーション能力です。

通信キャリアの立ち位置は、顧客の問い面に立つ上流の働き方となります。いわゆるキャリアから仕事を受けるベンダーの立ち位置とは異なります。(直販部隊として顧客と対面するベンダーもありますがここでは割愛します)

まずはネットワークエンジニアの仕事は顧客の課題のヒヤリングから実施し、その結果を踏まえて最適なネットワークを提案をするわけです。

また、提案が受注に繋がったあとは、設計をし構築する流れとなりますが、全ての工程においてお客様とコミュニケーションを図りながら進めていくため、とても重要な能力となります。

たいてい、重大なトラブルに繋がることはコミュニケーションミスが多かったりするのでトラブルを起こさないためにも顧客とは密にコミュニケーションをとることが重要です。

③資料作成(主にパワーポイント)能力

3番目は資料作成能力です。
ここでいう資料とは主にマイクロソフトオフィスのパワーポイントです。

2番目でも触れましたが、通信キャリアとしての上流のネットワークエンジニアの仕事内容は顧客へのヒヤリング・提案・設計・構築と各フェースがありますが、どのフェーズでもパワーポイントを使います。

提案フェーズの資料であれば、顧客の課題があり、その課題を解決する提案内容・ポイントがわかりやすく、順序立てて説明されている必要があります。

また、設計・構築フェーズにおいては設計書を作成するわけですが、基本設計書はパワーポイントが使われることが多いです。※
※規模や顧客要望によってワードが使われることもあります。

資料がきれいにまとまっているということは、見る側にとっても重要ですが、作成側としても必要な要素や説明の段取り等が理解できて整理できるている証拠でもあるので、資料を見ただけでどの程度のSEかが判断できてしまいます。

その他、社内での提案内容の共有や構築内容の共有、説明を実施する場においてもパワーポイントを用いて説明することが多いため、使わない機会がないと言っても過言ではありません。

そのため、わかりやすく、見やすい資料を作成する能力が重要となってくるわけです。

④ベンダーコントロール能力

4番目はベンダーコントロールです。

通信キャリアでエンジニアをする場合は必ずと言っていいほどベンダーを使います。
ベンダーに機器と設計・構築作業を外注してお客様にサービスを提供することになります。

では全てベンダーに丸投げできるかというと、そうではありません。

お客様のフロントに立つキャリアのSEが要件定義、基本設計まで実施し、詳細設計(パラメータやコンフィグ作成)移行のフェーズをベンダに依頼することが多いです。

ただ、詳細設計以降は全てベンダーに任せられるかというと、それも違います。

繰り返しになりますが、お客様のフロント、問面に立つのは通信キャリアなので、全ての責任は通信キャリアにあります。

そのため、ベンダー側で実施した詳細設計以降の作業、具体的にはコンフィグ作成や手順書作成がありますが、その作業を全てチェックし、必要に応じて修正依頼をします。

また、構築作業時も作業統制は通信キャリア側が実施することになるため、終始ベンダーのコントロールが必要になるわけです。

ベンダーに依頼すべき内容(ベンダーコントロールの項目)はおおよそ以下となります。

①見積り依頼
②詳細設計(パラメータシート・コンフィグ作成)
※基本設計は通信キャリア側で実施
③手順書作成
④構築作業

ベンダーの担当者のレベルはばらつきがあるため、すごいできる方もいればいまいちな方もいるのが正直なところです。

キャリアのネットワークエンジニは非常に多くの案件を抱えることが多いので、ベンダーをうまく使って如何に自分の仕事を減らせるか、注力すべき仕事に専念できるかはベンダーコントロール次第となります。

⑤通信キャリア独自のサービス(閉域網サービス)の知識

最後に通信キャリアの独自のサービス知識です。

通信キャリアの特徴として、独自のネットワークサービスを持っています。

最も有名なのはIP-VPN(閉域網)のサービスです。
閉域網は通信キャリアしか提供できないからですね。

通信キャリア毎のサービスは以下となります。

NTTコミュニケーションズ:Arcstar Universal One
KDDI:KDDI Wide Area Virtual Switch 2 (KDDI WVS 2)
ソフトバンク:Smart VPN

通信キャリアはこの閉域網サービスを中心として独自のサービスを提供しているため、ネットワークの知識に加え、自社のサービス仕様をしっかりと把握する必要があります。

裏を返せば自社のサービスにいくら詳しくても、他社に行ったらその知識はあまり活かすことができないので、サービス仕様を把握することはもちろん重要ですが、あくまで世の中で通用するネットワークの技術のスキルの習得が一番重要かなと通信キャリアで働いて実感しました。

まとめ

通信キャリアのネットワークエンジニアとしての働き方や必要となるスキルをご紹介してきました。

もちろん、記載した以外でも必要なスキルはあると思いますが、最低限記載した5つのスキルがないと仕事をこなすのは難しいです。

逆に全てのスキルを持ち合わせていれば、通信キャリアのネットワークエンジニアとして仕事をすることは可能だと思います。

少しでも参考にしていただけたら嬉しいです。

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